古民家から田代川をはさんで畑が広がる中に、ひときわ素朴な建物があります。農小屋です。プロの技術者の指導を仰ぎながらSNNのメンバーが力を合わせて建てました。

屋根は秀明自然農法で育てた稲を利用した藁葺きです。藁の耐久性は葭（よし）の10分の1。3年に一度、これも自分たちの手で葺き替えています。穂先を下にした「逆（さか）葺き」という手法で、太い根元を上にすることで勾配がつき排水を促すため、薄く葺いても雨漏りはしません。

外見は朴訥（ぼくとつ）ですが、農作業者にとっては万能小屋といっていいでしょう。農機具の保管、味噌や漬物など保存食作りやその保管、縄や菰（こも）編み、種取り、収穫物の仕分け、販売準備にと大活躍です。農作業の合間に、ほっとひと息つけるのもこの小屋。お茶を飲みながら、作物の生育状況などを語り合う。集団で農作業する者にとっては大切な情報交換となります。

しがらきの里の農小屋では、学生勉強会、学修会、座談会なども催され、学びの場としても活かされています。